2012年12月11日火曜日
第4回空き地歌会 スピンオフ 評17&19&23
17 靴ひもを結ぼうとしてしゃがんだら靴にひもなく ならば祈りを(ごみたゆうこ)1票
【ショージサキ 評】--------------------------------------------------------------------------
靴ひもを結ぼうとしゃがむ仕草ってひざまづいて神に祈る動作にも似ていますよね。
終わったあとに一瞬天を仰いでみるかんじとか。
リアルな出来事としても読めるし、
「靴にひもなく」=何か大切なもの(もしくは当たり前にあるもの)を知らないうちに無くしてしまった、という比喩とも読めるなと思いました。
また自分だったら、
4句目はただ単に「靴ひもがなく」
と詠みこんでしまうだろうなあ。。。
「靴にひもなく」とひもに重点を置いた言い回しにも細かい工夫が感じられました。
「ならば祈りを」という結句は、最初、唐突な印象を受けてしまい、少し気になる箇所ではあったのですが、読んでいくうちにそのインパクトがこの歌の持ち味なのではないかとも思いました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
19 クノールがまた溶け残る 結末はあなたの好きなようにしましょう(小林ちい)1票
【篠原謙斗 評】------------------------------------------------------------------------------
なにかの終わりが来た時に自分の好きなようにあまりできてこなかったからか、共感しました。この歌の主人公は前向きな気持ちなのかな。一緒に酒飲みたい。身近に人物を感じられるいい歌だと思いました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
23 鑑定の結果:わたし と あなた は運命の人ではありません(山田水玉)1票
【あおい月影 評】----------------------------------------------------------------------------
2人で、占いの鑑定に行って、どうやら運命の人ではないと告げられた。そのあとの2人の行動が気になる、歌だと思います。沈黙になったのか、笑いあったのか、鑑定後の2人の行動がとても気になる、余韻がある素敵な歌だと思いました。上級テクニック感じさせる、魅力的でとても好きです。
第4回空き地歌会 スピンオフ 評11&14&15
11 ほどかれるゆびを待ちつつ結び目をつくる月日に若葉雨ふる(紗都子)1票
【野比益多 評】------------------------------------------------------------------------------
じっくり読むと、いろいろな読み方ができる歌だなと思いました。
いちばん最初に思ったのは、恋愛かなあと。
主体は文体や内容的に女性かな?ととりました。
なので、主体が思いを寄せる男性Aがいて。
その男性Aにはまだほどかれていないゆびの女性Bがいる。
そちらの関係が終るのを待ちながら、
主体は男性Aとの間に結び目(絆)をどんどんつくっていく。
でも「若葉雨ふる」というところで、
主体はその月日にまったく後ろめたさは感じていない。
という怖い読み方をしておもしろいなあと思いました。
でも、また別の読み方もできるなあと。
主体は小さな子どものお母さんで、
小さいころは手をつないで歩いていたけれど、
成長したらそのゆびはほどかれるんだろうなあ。
と思いながら、結び目(絆)をつくっていく。
「若葉雨降る」というのも、こどもの成長をさしている。
「ゆび」が漢字でなくひらがなであることからも、
親子説が有力な気がしますね。
どちらにしても考え抜かれてつくられているからこその
読み解いていくおもしろさがあり、
この一首を選ばせていただきました。
あ、でも動詞が3つ出てきて少し煩雑かなあとも思いました。
「待つ」「つくる」「ふる」。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
14 生きるとは結び繋げてゆく事と刻み込まれた螺旋が騒ぐ(本間紫織)2票
【住友秀夫 評】-------------------------------------------------------------------------------
機械のきしむ音がした。そちらへ目を向けてみると螺旋状にネジを切った部品が動力を伝え機械が動いている。
それを見て作者は「人生には職場や家庭などあらゆる所で人と人とのつながりが不可欠で、
後の世代に知識・経験・血・心等を伝えていく役割を必然的に負っている。」と感じたのではないでしょうか。
結句の「螺旋が騒ぐ」はそのような役割を忘れがちな我々に「気づきなさい」と機械が訴えているように思いました。
定年まであと三年半の私には「お前はそのような役割を果たしてきたか」と問われているようでもあり
また励まされているようにも感じました。
作者の方、いい歌をありがとうございました。
【土屋智弘 評】-------------------------------------------------------------------------------
一読、二重螺旋構造を持つDNAのこととわかる。命を繋げてゆくためのシステムとしての躍動感を表現している感じがよくて選んだ。ただ、テンポよくDNAがやるべきことを並べているが、動詞が多くて騒々しい印象が強くなっているのが惜しい。そこが表現したい所なのかもしれないが、もう少し落ち着いた表現ができればなおよいと思う。と言いつつ、スピンオフ31首の中では一番惹かれた歌である。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
15 結んではひらく約束ほどけなくなってしまったなら手を打って(なまにく)2票
【晴見奏司 評】------------------------------------------------------------------------------
不思議な魅力を持った歌だと思う。
童謡のむすんでひらいての様に
一首の中に延々と繋がっていく様なイメージを持った。
(むすんでひらいて手を打ってむすんでひらいて手を打って…の様な)
人は生きている内にどれほどの約束を交わすのだろう。
縁の糸も時には絡む事もあると思う。
手を打つと言うのは必要な対策を取ると言う
言葉そのままの意味もあるのだろうが
私の中では手を打つと言う行為そのものに神聖なイメージがあって
かしわ手を打つ事により邪気を払って
心機一転また約束を結び直しましょうと言った
前向きな歌だと解釈した。
31首の中では一番目についた歌である。
【天国ななお 評】-----------------------------------------------------------------------------
誰もが知っている童謡(フレーズ)をモチーフにしてしまうと、逆にそこから広げられなくなってしまうこともありますが、これはとてもよく作られていると関心しました。ほとんどそのままなのに約束をはさんだことで全然違う世界にしてしまう。
第4回空き地歌会 スピンオフ 評9
9 あねもねを束ねるように妹の髪ゆるく結う春の病棟(さとうはな)5票
【浪江まき子 評】-----------------------------------------------------------------------------
初句二句の韻律が良いと思いました。また全体としてあねもね、妹、髪を結う、春…など甘めの言葉が並んでいますが、最後に場面設定を病室とすることで妹の穏やかではない状況、(読み手には病状などはわからないので)意味深さのある雰囲気に回収しているところを評価しとりました。
(個人的な話で評とは言えませんが)最初、「結」という題を与えられたとき、私も髪を結う景を詠みたかったのですがどうしても甘い感じ、もしくは女性性を強調するようなものばかりになってしまい、何か違うと諦めたので、こういう題の処理の仕方もあったか、と勉強になりました。
【たえなかすず 評】-------------------------------------------------------------------------
美しい歌。
「あねもね」のひらがな表記で優しさと、淡さを同時に表し
あねといもうとのの対比を生み出す。
“あね もね 束ね”
の「ね」の繰り返しが姉妹のたおやかさを表現していると思う。
姉である主体が妹の髪を結ってやる。かすかな情感がたちあがる瞬間である。
「姉妹の聖域」を感じさせて上手い。
病室の方がいいと思ったが病棟の方が詩情があるので良いだろう。
アネモネの花言葉は「はかない夢」「薄れ行く希望」とある。
姉の気遣い、姉妹愛がはかなくも美しい。
次点。
12 ゆっくりと回る歯車踏みつける ところで靴ひも結んでたっけ
不穏で好きです。
靴ひもは結ばれておらず、歯車に……
と負の方向に思わせる点がうまいです。
【飯田彩乃 評】-----------------------------------------------------------------------------
Mたけさんではありませんが、妹短歌が好きです。好きなんです。…いや、そうではなくて。
花を扱うように、妹の髪にやさしくふれる。この歌がもつ優しい雰囲気に惹かれます。韻律もなめらかでしっとりしていますよね。
あねもねの「あね」と髪を結われている「妹」の対比もそれほど嫌味ではなく、すっと胸に落ちてきます。
【龍翔 評】---------------------------------------------------------------------------------
第4回空き地歌会スピンオフにご参加の皆さま。
初めまして。ご無沙汰しております。龍翔と申します。
僭越ながら、一首選一首評をさせていただきます。
とても素敵な短歌ばかりで迷いに迷いましたが、
9の短歌にコメントさせていただきます。
直観的に、姉妹を詠んだ御歌だと思いました。
「あねもね」の「あね(姉)」という言葉の響きからかもしれません。
或いは、「アネモネ」とカタカナ表記にせず、ひらがな表記であることで、
視覚的にそう「感じさせられる」のかもしれません。
作中主体が姉にせよ、兄にせよ、
年上のきょうだいが、妹が痛い思いをしないようにと慮ってか、
「髪ゆるく結う」ところに、何とも言えない優しさを感じます。
「あねもね」、「ゆるく」などのいうひらがな表記は、
それ自体「あねもねを束ねるよう」な円みがあり、
加えて「ゆるく結う」という「ゆ」の音の連続が、
短歌全体から優しさや温かさを醸し出しています。
まさに、春の雰囲気とも合っていると思います。
「病棟」という表現から、病院の情景であることが分かります。
入院している妹の髪を姉が結んでいる風景なのか、
或いはその逆で、妹はお見舞いに来ているのか、
実は、二人ともが誰かのお見舞いで、病院で戯れているところなのか、
残念ながら、短歌の中からその詳細を読み取ることはできませんが、
そのようなストーリーをすることにこそ楽しさがあるのだとも言えます。
(私の印象としては、前者のイメージが強いかもしれません。
入院で辛く寂しい、痛い思いをしている妹に、
これ以上そのような思いをさせまいとする姉の気遣いを感じました。皆さまは如何でしょうか。)
深読みになりますが、以前ピカソの代表作〈ゲルニカ〉について聴いたことを思い出しました。
スペイン内戦の惨事を描いたこの絵画の中央下部には、
「再生」と「希望」の象徴として、アネモネの花が描かれています。
春を告げる「あねもね」とは、病床に伏せる妹の姿そのものなのかもしれません。
非常に優しさに溢れる素敵な御歌だと思います。長々と失礼致しました。
追記。空き地歌会のように、五首を選歌するとすれば、
9、19、23、25、30に投票させていただきたいと思います。
【魚住蓮奈 評】---------------------------------------------------------------------------------
春の明るさがよくでてます。あねもね、のかな表記、ゆるく、のやさしさがいい。ね、や ゆ、の音の繋がりのせいでしょうか、全体のゆったりとした時間の流れを感じさせます。
第4回空き地歌会 スピンオフ 評3&4&8
3 結局は知らないままに卒業する人と部室を掃除する春(Tetsu)2票
【麦太朗 評】------------------------------------------------------------------------------
長く付き合ってきた友達でも、その人の芯の部分はわからないものです。これ
は恋人同士でも、さらには夫婦でも同じことが言えます。部室を掃除するときは、
ほとんどの場合は二人が同じ空間にいてもそれぞれ違う作業をしているものです。
具体的な行動の描写によって二人の微妙な関係がうまく表現されています。
卒業と掃除があれば春は不要という気もします。また、結局はという言葉は硬
い感じがするので他の言葉への置き換えも考えられます。抒情あふれる素敵な歌
ですが推敲の余地はあると思います。
【田中ましろ 評】-------------------------------------------------------------------------
部室を掃除する、という表現がすごく新鮮でした。ぱっと見たときに相聞かと思
ったのですが、男女で部室が同じということはあまりないかなぁ、ということで
同性、友達の歌として読みました。希望的観測で作中主体は女子で。隠し事をし
ていて後ろめたい気持ちのある女友達と二人きりの空間。たとえば、友達の好き
な人が内緒で付き合ってる自分の彼氏とか。「結局は」に少なからず友達に事実
を打ち明けるかどうか葛藤した痕跡があり、でも結果、伝えていないことがわか
る。それが気まずさを増幅するのに非常に良く機能しているように感じました。
そんな人とおしゃべりではなく「部室を掃除する」わけです。それぞれ別のとこ
ろを片付けに集中したら沈黙にもなるでしょう。同じ空間でそれぞれ別のことを
することで主体の意識が自分に向いていて、胸の内にある気まずさに読者の意識
を引っ張ってきます。計算されたものかはわかりませんが、ひとつひとつの言葉
が絶妙に機能しあって圧倒的に心にきました。ただ1点、最後の春はちょっと違
和感がありました。卒業式って3月上~中旬なことが多くありませんか?だとし
たら春と呼ぶにはまだ少し早いのかなぁ、と。
余談ですが、この歌では相手が同性か異性かの情報がなにもありませんので、登
場人物をすべて男性にすることも可能ですね。そうすると、あら不思議、立派な
BL短歌に。読者の好みで設定を変えても核となる「主体の気まずさ」は変わらな
いのがこの歌のいいところでもありますね。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
4 街をゆく人々はみな風景で自分のために結ぶ靴紐(あわのたくや)1票
【結城直 評】------------------------------------------------------------------------
情景描写に魅かれました。靴紐を結ぶために立ち止まる自分と、立ち止まらずに風景として流れていく人々。
靴紐を結ぶという行為が、風景(自分以外の人々)と自分とを隔てるかのようで素敵だと思いました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
8 そんなこともわかりませんがうつむいて解いているおととしの固結び(虫武一俊)1票
【山階基 評】------------------------------------------------------------------------
初句・二句目は主体のモノローグ的なものでしょう。「そんなこともわからないのか」というような誰かの発話に対する応答だと想像できます。
「固結び」というのは、「そんなこともわからないのか」といわれて(しかも言い返して)しまうような主体のかたくなさを投影したものだと読みました。
「おととし」に「そんなこともわからないのか」と言われるようなことがあったけれど、今はそのときのかたくなさがほどけてきているということでしょうか。
しかし、「うつむいて」という動作、また「わかりませんが」という言い方から、まだあまり主体のなかで納得できていないようにも思えます。
僕は後者の読みをして、納得はいかないまでもかたくなさをほどこうとするという主体の意志が表れているという風に読んで、そこに魅力を感じました。
韻律の面では、四句目・五句目が非常に読みにくく感じました。語順の入れ替えなど、改善の余地が十分にあるはずです。
第4回空き地歌会 スピンオフ 評1
1 応募した覚えはないが抽選の結果わたしが生まれこのざま(木下龍也)4票
【本多響乃 評】----------------------------------------------------------------------------
◆歌の構造
上の句と下の句でわけると
応募した覚えはないが抽選の/結果わたしが生まれこのざま
となる。
「応募した覚えはないが」という静かなはじまりが、
「抽選の/結果」が、上の句と下の句で分断される時点で、読者はおやおやっと思わせられる。投げ出すようにおかれた結句の「このざま」という体言止めが、この歌には憎たらしいぐらいに似合っている。
一読すっと意味が伝わり、「このざま」と言い切られることで、作者のかなしみが、ずどんと直球で届く。そして、このかなしみは、とても乾いているかなしみだと思う。おそらくそれは文体のせいだ。
◆「結」の使い方
ほかの歌が「結ぶ」からひっぱられたイメージで作られたものが多かったので、
「結果」という言葉での題詠の処理が、結果的にめだっていた。
【沼尻つた子 評】---------------------------------------------------------------------------
精子の着床率を考えると、確かに当選率の低い抽選です。
(まだ四億インパクトが)
上句は「産んでくれなんて頼んでない」などという、
反抗期少年の老成ひねくれバージョンのようです。
自身の存在を扱いながら、他人事のように淡々とした語りが魅力。
なのに、結句の「このざま」がかなり残念。
いまの「わたし」の思わしくない状況を自虐にして〆たのでしょうが、私には後味がよくありません。
せっかく抑制していた感情が、最後に来て漏れてしまったよう。
反抗期老少年(?)としては順当すぎるセリフとも言えます。
もっと捻りのある着地がみたかったですね。
でも、やさぐれた「このざま」故にこの歌に惹かれ、共感する読者もいるかもしれません。
好みのわかれるところでしょうね。
【倉野いち 評】---------------------------------------------------------------------------
パッと見て、ああいいな、と思い、全部読んでやっぱりこれがいいな、と思いました。
3億、空き地的には4億分の1の抽選でしょうか。生まれる前の記憶なんてもちろんないので、応募した覚えがないのは当然ですよね。
結句「このざま」の嘲笑い感にぞくぞくきます。
ものすごい偶然によってこの世に生まれることができたのに、人生うまくいかないことばかりで、そんな自分自身をバカにしているようにも読めるし、
または「わたし」を生み出した存在(家族とか、先祖とか、なにか血のつながりのようなもの全て)に対して「生まれたのがわたしで悪かったな、ざまあみろ」と言っているようなイメージも。
漢字の多い上の句はかしこまった印象(外ヅラというか)、平仮名だらけの下の句はぶっきらぼうな本音、というバランスも面白いです。
【高橋たまき 評】-------------------------------------------------------------------------
ひとつひとつの言葉の選び方に無駄がなくてすごい!と感動しました。
最後までたたみかけるようなスピード感が気持ち良いです。
生まれたことを「抽選の結果」としたり、
ほとんど良い意味では使われない「このざま」で「わたし」をバッサリ切り捨てたり、と
ネガティブな要素を含んだ言葉がたくさんあるのに
なぜか全くネガティブさを感じさせない不思議なお歌だと思いました。
一見卑下しているようにも見えるけれど、
ほんとうはもっと高いレベルへ向かうべき自身を
叱咤激励しているのではないのかな。
ネガティブの逆をいくような、そんな力強い印象を受けました。
うまく言えませんが……
生に対しての真摯な態度、みたいなものが
「このざま」にはたくさん詰まってそうな気がしています。
すごいなー。
好きです。
追伸
生んでなんて頼んでないしー!とリアルに言い放ち、
母とめんたいこを投げ合った実家のリビングの一部赤壁を
思いだし恥ずかしくなりました。
淡く苦くカライ思い出です。
(お歌との次元が違いすぎてごめんなさい。)
その他にも好きなお歌がいくつもありました。
どうもありがとうございました。
2012年12月5日水曜日
第4回空き地歌会 スピンオフ詠草
スピンオフ企画に参加いただいたみなさまの詠草です。
本編と同じく「結」を読み込んでいただきました。
http://akichikakai.blogspot.jp/2012/11/4.html
現在、無記名の状態で、空き地歌会参加者が1首選1首評を行っています。
来週くらいに結果発表と作者発表をする予定ですので、そちらもお楽しみに。
※第4回空き地歌会参加者のみなさまへ、1首選1首評の締切は12/8(日)24:00です。
すみません。ずっと締め切り日を間違えていました。。
12/9(日)24:00が正解です。
1 応募した覚えはないが抽選の結果わたしが生まれこのざま
2 この街を結晶にして音もなくすべっていけば きれいな朝日
3 結局は知らないままに卒業する人と部室を掃除する春
4 街をゆく人々はみな風景で自分のために結ぶ靴紐
5 「結婚と携帯変えたお知らせです」おめでとうさえ届きはしない
6 蝶結びした約束はほどかれて 散る散るイチョウ片翅みたい
7 肩ゆらし口を結んでいる君に泣けとつぶやき胸に抱きしめ
8 そんなこともわかりませんがうつむいて解いているおととしの固結び
9 あねもねを束ねるように妹の髪ゆるく結う春の病棟
10 君遺す靴下を履き結ばれぬ つま先余る晴天の朝
11 ほどかれるゆびを待ちつつ結び目をつくる月日に若葉雨ふる
12 ゆっくりと回る歯車踏みつける ところで靴ひも結んでたっけ
13 キャスティング間違えられて通行人Bのまんまで終わる結末
14 生きるとは結び繋げてゆく事と刻み込まれた螺旋が騒ぐ
15 結んではひらく約束ほどけなくなってしまったなら手を打って
16 幸せになってほしいと願ってる 結んでひらいて手を振ってさようなら
17 靴ひもを結ぼうとしてしゃがんだら靴にひもなく ならば祈りを
18 靴ひもを結わえた後の立ちくらみ空を見上げるための口実
19 クノールがまた溶け残る 結末はあなたの好きなようにしましょう
20 1番が5番に告白したけどさ結果オーライなんじゃないこれ
21 結ばれることはきっとないだろう真昼の月の白さが痛い
22 ふりつもる結晶の街にことごとく不純な僕ら閉じ込められて
23 鑑定の結果:わたし と あなた は運命の人ではありません
24 「うむ」「うむ」と指を結んだら歩き出すちょうどいい距離を覚えて僕ら
25 よく知らない人の結婚式に出てみんな知ってる歌をうたった
26 結晶は割れてしまったいつまでも拾ってないで掃いて忘れろ
27 結び目をほどくきみの手つめたくてわたしは生きているのだと知る
28 結論はひとつだけでは足りなくて鮮魚を買いに街へでかける
29 結び目をほどくかわりに恥ずかしい過去をいくつか思い出してる
30 馴染みのない部屋で目覚めたその朝も同じ手順で結ぶネクタイ
31 ほどくべく結ばれている花束のリボンをとけば雨になります
本編と同じく「結」を読み込んでいただきました。
http://akichikakai.blogspot.jp/2012/11/4.html
現在、無記名の状態で、空き地歌会参加者が1首選1首評を行っています。
来週くらいに結果発表と作者発表をする予定ですので、そちらもお楽しみに。
※第4回空き地歌会参加者のみなさまへ、1首選1首評の締切は
すみません。ずっと締め切り日を間違えていました。。
12/9(日)24:00が正解です。
1 応募した覚えはないが抽選の結果わたしが生まれこのざま
2 この街を結晶にして音もなくすべっていけば きれいな朝日
3 結局は知らないままに卒業する人と部室を掃除する春
4 街をゆく人々はみな風景で自分のために結ぶ靴紐
5 「結婚と携帯変えたお知らせです」おめでとうさえ届きはしない
6 蝶結びした約束はほどかれて 散る散るイチョウ片翅みたい
7 肩ゆらし口を結んでいる君に泣けとつぶやき胸に抱きしめ
8 そんなこともわかりませんがうつむいて解いているおととしの固結び
9 あねもねを束ねるように妹の髪ゆるく結う春の病棟
10 君遺す靴下を履き結ばれぬ つま先余る晴天の朝
11 ほどかれるゆびを待ちつつ結び目をつくる月日に若葉雨ふる
12 ゆっくりと回る歯車踏みつける ところで靴ひも結んでたっけ
13 キャスティング間違えられて通行人Bのまんまで終わる結末
14 生きるとは結び繋げてゆく事と刻み込まれた螺旋が騒ぐ
15 結んではひらく約束ほどけなくなってしまったなら手を打って
16 幸せになってほしいと願ってる 結んでひらいて手を振ってさようなら
17 靴ひもを結ぼうとしてしゃがんだら靴にひもなく ならば祈りを
18 靴ひもを結わえた後の立ちくらみ空を見上げるための口実
19 クノールがまた溶け残る 結末はあなたの好きなようにしましょう
20 1番が5番に告白したけどさ結果オーライなんじゃないこれ
21 結ばれることはきっとないだろう真昼の月の白さが痛い
22 ふりつもる結晶の街にことごとく不純な僕ら閉じ込められて
23 鑑定の結果:わたし と あなた は運命の人ではありません
24 「うむ」「うむ」と指を結んだら歩き出すちょうどいい距離を覚えて僕ら
25 よく知らない人の結婚式に出てみんな知ってる歌をうたった
26 結晶は割れてしまったいつまでも拾ってないで掃いて忘れろ
27 結び目をほどくきみの手つめたくてわたしは生きているのだと知る
28 結論はひとつだけでは足りなくて鮮魚を買いに街へでかける
29 結び目をほどくかわりに恥ずかしい過去をいくつか思い出してる
30 馴染みのない部屋で目覚めたその朝も同じ手順で結ぶネクタイ
31 ほどくべく結ばれている花束のリボンをとけば雨になります
第4回空き地歌会(本編)野比益多の評
こんにちは。野比益多です。
スタッフが全員、評をアップしたという
プレッシャーをじわじわと感じまして。
選ばせていただいた5首だけ書いてみました。
全首とかムリです!根性なしですみません。。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------
A 音羽町置屋ときわや寅の刻 笑いころげる髪結いマツコ(麦太朗)
まずリズムがよくて気になりました。気になって何度か読んでいるうちに、この一首の持つ、かなしみのようなものが感じられました。置屋という場所、寅の刻(午前4時あたり)という時間、マツコデラックスを想像させるマツコ、どれも世の中の王道であるとは言えない、端っこにあるものたち。世の中の端っこにいるからこそ、楽しく笑い転げて生きていく。そんな意味合いが感じられてよいなあと思いました。(こういうのって深読みになるんでしょうか?まだそのあたりの加減がよくわかっていません。。)
E 結露した窓を殴ってみてもただ壊せない夢に跡がつくだけ(ショージサキ)
窓を殴るという行為。実際にはあまりしないだろうなあと思います。その行為と「夢」という言葉が一緒に出て来ると、ちょっと昔の青春ドラマのようなかんじがしてしまうような。。でもこの歌の持つ切実さは、こういう道具立てだからこそにじみでてくるのかもしれません。結露した窓は、内側から殴っているのでしょう。壊してしまいたいくらい叶いそうにない夢に閉じ込められている主体。でも夢は壊れない、主体は閉じ込められたまま。「跡がつくだけ」というところに、逃げ出すこともできない絶望感が感じられます。いつか夢が叶って窓ではなく扉から出られますように。
F 真冬日の結び目きつくバスを待つあいだにすこし君を忘れる(田中ましろ)
「真冬日の結び目きつく」という表現がおもしろいなあと思いました。歌会でもこの結び目が何かというのが話題になっていましたが、わたしはまず冬の冷たいキュッと締まった空気のことを思い浮かべました。寒さがきついということやバスというところから、冬の朝に、出勤などのためバスを待っているというところを想像し、寒さで気が引き締まって、いつもずっと頭から離れない君のことを少し忘れて、仕事もしくは考えなければならない日常のことに頭の中が集中しはじめたというふうに読みました。恋愛という非日常から寒さという現実で日常に引き戻される瞬間がよいなあと思いました。
P もうすでに彼女と呼ばぬひとからの夜のメールの結語あざやか(たえなかすず)
「結語あざやか」という言葉がおもしろいと思いました。別れた彼女から「夜」に来るメール。それはなにか用事があってしてくるメールではなく、もう少し感情がこもったもののような気がします。主体はメールが来たときに少しの期待を持ったのではないでしょうか?「結語あざやか」はいろいろな意味にとれると思いますが、この場合は、あざやかなまでに、さらりと未練なく終っているメールと読むほうが面白いような気がします。一首の中に言葉として直接に描かれているわけではないのに、主体の未練が表現されているようでよいと思いました。
Q まだ髪を結んだ私しか知らない君と終電の灯りをあびる(沼尻つた子)
「まだ髪を結んだ私しか知らない君」が、君と主体の距離感を心地よく表現していてとてもよいと思いました。ただ歌会中も話されたことですが、「終電の灯りをあびる」の意味が曖昧なことが残念です。前半で二人の距離感というのを示しているので、後半ではその距離感がどうなったのか?という変化(もしくは停滞)をきちんと示したほうがよいと思われます。
スタッフが全員、評をアップしたという
プレッシャーをじわじわと感じまして。
選ばせていただいた5首だけ書いてみました。
全首とかムリです!根性なしですみません。。
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A 音羽町置屋ときわや寅の刻 笑いころげる髪結いマツコ(麦太朗)
まずリズムがよくて気になりました。気になって何度か読んでいるうちに、この一首の持つ、かなしみのようなものが感じられました。置屋という場所、寅の刻(午前4時あたり)という時間、マツコデラックスを想像させるマツコ、どれも世の中の王道であるとは言えない、端っこにあるものたち。世の中の端っこにいるからこそ、楽しく笑い転げて生きていく。そんな意味合いが感じられてよいなあと思いました。(こういうのって深読みになるんでしょうか?まだそのあたりの加減がよくわかっていません。。)
E 結露した窓を殴ってみてもただ壊せない夢に跡がつくだけ(ショージサキ)
窓を殴るという行為。実際にはあまりしないだろうなあと思います。その行為と「夢」という言葉が一緒に出て来ると、ちょっと昔の青春ドラマのようなかんじがしてしまうような。。でもこの歌の持つ切実さは、こういう道具立てだからこそにじみでてくるのかもしれません。結露した窓は、内側から殴っているのでしょう。壊してしまいたいくらい叶いそうにない夢に閉じ込められている主体。でも夢は壊れない、主体は閉じ込められたまま。「跡がつくだけ」というところに、逃げ出すこともできない絶望感が感じられます。いつか夢が叶って窓ではなく扉から出られますように。
F 真冬日の結び目きつくバスを待つあいだにすこし君を忘れる(田中ましろ)
「真冬日の結び目きつく」という表現がおもしろいなあと思いました。歌会でもこの結び目が何かというのが話題になっていましたが、わたしはまず冬の冷たいキュッと締まった空気のことを思い浮かべました。寒さがきついということやバスというところから、冬の朝に、出勤などのためバスを待っているというところを想像し、寒さで気が引き締まって、いつもずっと頭から離れない君のことを少し忘れて、仕事もしくは考えなければならない日常のことに頭の中が集中しはじめたというふうに読みました。恋愛という非日常から寒さという現実で日常に引き戻される瞬間がよいなあと思いました。
P もうすでに彼女と呼ばぬひとからの夜のメールの結語あざやか(たえなかすず)
「結語あざやか」という言葉がおもしろいと思いました。別れた彼女から「夜」に来るメール。それはなにか用事があってしてくるメールではなく、もう少し感情がこもったもののような気がします。主体はメールが来たときに少しの期待を持ったのではないでしょうか?「結語あざやか」はいろいろな意味にとれると思いますが、この場合は、あざやかなまでに、さらりと未練なく終っているメールと読むほうが面白いような気がします。一首の中に言葉として直接に描かれているわけではないのに、主体の未練が表現されているようでよいと思いました。
Q まだ髪を結んだ私しか知らない君と終電の灯りをあびる(沼尻つた子)
「まだ髪を結んだ私しか知らない君」が、君と主体の距離感を心地よく表現していてとてもよいと思いました。ただ歌会中も話されたことですが、「終電の灯りをあびる」の意味が曖昧なことが残念です。前半で二人の距離感というのを示しているので、後半ではその距離感がどうなったのか?という変化(もしくは停滞)をきちんと示したほうがよいと思われます。
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